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富士海運株式会社 脱炭素社会を見据えた新造船のセメント運搬船「竜王」竣工!近代的な設備と性能でエネルギーの消費低減を図る。

富士海運株式会社では、最新鋭のセメント運搬船「竜王(RYUOH)」を、2025年6月27日に竣工いたしました。

本船は、富士海運株式会社(本社:山口県山陽小野田市、代表取締役社長:脇村博之)が船舶管理を行い、東 海運株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:松井伸介)が運航を担当するセメント運搬船となります。

株式会社三浦造船所(大分県佐伯市)で建造され、独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構との共同事業として開発されたものです。

「竜王」は、環境負荷の低減と運航効率の向上を追求した次世代型の内航貨物船で、太平洋セメント株式会社のセメント輸送に従事します。
全長113.25m、総トン数5,271トン、載貨重量7,505トンの本船は、最新鋭の省エネ技術と先進的な航行支援システムを多数搭載しており、内航輸送業界における環境対応・船員の働きやすさを両立した新しいモデルケースとして注目を集めています。

環境対応型エンジンと高効率推進システムを採用
「竜王」は、阪神内燃機工業株式会社製の低速4サイクル主機「LH46LAES」を搭載。吸気弁の早閉じと電子制御燃料系統によるミラーサイクル運転を採用し、NOx(窒素酸化物)の排出低減と優れた燃費性能を両立しました。

また、推進装置には新型高効率可変ピッチプロペラを採用し、加えて低摩擦の船尾管軸受と非接触型摩耗センサを搭載。プロペラ軸出力のエネルギー消費を大幅に低減することが可能となっています。

AI航行支援とビッグデータで実現する最適運航
本船では、気象ビッグデータと連携した最適航海支援システムを導入。航路選定から船速の自動調整まで一元管理し、常にベストなコンディションでの航行を実現します。これにより、燃料消費の最小化と定時運航の両立が可能となり、運航効率を飛躍的に向上させています。

荷役装置にも最新技術を導入、安全性と多品種対応力を強化
荷役設備にはスペロセイキ株式会社製の圧送装置(500t/h×2)と、スクリューコンベヤーを縦横に配置したシステムを採用。これにより多品種・高品質なセメントの安全かつ迅速な積み下ろしが可能となりました。荷役の制御運転にも重点が置かれており、品質管理と作業の安全性向上を同時に実現しています。

船員の快適性にも配慮した居住区
船内の居住エリアには全室バス・トイレ付の個室を完備。
さらに、トレーニングルームを設けるなど、長期乗船でも快適に過ごせる環境を提供しています。
船員の健康管理と福利厚生の充実を図ることで、労働環境の改善と人材確保にも寄与します。

脱炭素・省エネ・働きやすさを兼ね備えた船づくり
近年、海運業界では燃費効率の向上と環境負荷低減が求められていますが、「竜王」はその要請に応える最新技術を凝縮した1隻です。
セメントという社会インフラを支える基幹物資の輸送を、より効率的かつ持続可能な形で担う存在として、今後の内航輸送の新たなスタンダードとなることが期待されています。